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物価上昇の影響を受け、価格を変えずに大きさや内容量など、消費者に気付かれないよう調整する「ステルス値上げ」が、住宅業界にも波及している傾向がみられます。
ステルス値上げは、どの業界でも公に発表することはありませんが、食品ならば、
など、うすうす感じることはあります。
しかし一戸建て住宅となると、一般客が気づくことはないのが現状です。
住宅を供給しているハウスメーカーや工務店は、建築資材の高騰に頭を悩ませながらも、何とか価格相場を維持する努力を行っていますが、限界が見えてくるのは時間の問題といえます。
ゆえに、これから一戸建て住宅の購入を検討している場合は、ステルス値上げの実態や対応策を知り、コスパのよい一戸建て住宅をいかに見極めるかがカギとなります。
建築資材高騰の影響
建物物価調査会総合研究所が発表したデータ(建築費指数(2024年12月分)一般財団法人建設物価調査会)によると、2024年12月時点での木造住宅の工事原価指数は139.5(暫定)であり、前年同月比で4.1%増(+5.5p)となっています。
この指標は2015年(平成27年)を100としており、その高騰ぶりが明らかです。
一戸建て住宅の販売価格も、これに伴って上昇傾向にありますが、買い手が購入できる価格帯で抑えなければ、ハウスメーカーは在庫リスクを抱えることになります。
そこで、住宅の面積や仕様を変更することで建築コストを抑え、価格の上昇を抑えた住宅に供給に舵を切る方向性が広まっています。
住宅面積が全国的に縮小傾向
総務省が公開している「令和5年住宅・土地統計調査」によると、一戸建ての延べ面積は約126㎡であり、2013年以降は減少傾向です。
ピーク時よりも約2.3㎡(およそ1.5畳)も狭くなっていますので、建築コストを抑える方法として、延べ面積を縮小する傾向が高いのではないかと推測できます。
延べ面積の縮小は、居住スペースや水回りの広さだけでなく、収納力にも影響する可能性があります。
たかが1.5畳ではありますが、その分の収納スペースが失われると考えると、かなりの痛手です。
また、二階建ての場合は、上階のトイレを無しにしたプランも考えられます。
上階のトイレが必須なら、個室が犠牲になることもありますから、どのみち延べ面積の縮小は喜ばしいことではありません。
神奈川県の住宅も狭くなっている?
レインズが公開している、2024(令和6)年11月度の月例マーケットウォッチから、神奈川県の一戸建て住宅(当月末時点で登録されている物件の集計)の平均価格、土地と建物の面積は、以下のようになっています。
新築 在庫状況
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平均価格
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土地面積
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建物面積
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2023年11月末
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4,608万円
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112.25㎡
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98.36㎡
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2024年11月末
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4,760万円
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112.06㎡
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98.30㎡
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数値比較
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+152万円
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-0.19㎡
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-0.06㎡
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平均価格は152万円増加したものの、土地面積と建物面積は、ほぼ横這いという結果です。
つまり、神奈川県の一戸建て住宅は、1年前よりも割高になっているといえます。
その一方で、同データによると神奈川県の在庫状況は2023年11月から12月にかけて99棟増えているものの、成約件数は28件減少しています。
このことから、
という、いずれかの理由が考えられますが、決して一戸建て住宅の販売は好調ではないことも垣間見えます。
このデータでは、ステルス値上げの可能性は低いといえますが、今後の動向については、ハウスメーカーなどから情報を得ることがおすすめです。
いまのうちに、神奈川県内の好条件の一戸建て住宅をチェックして、マイホームの相談に繋げましょう。

住宅ステルス値上げの実態
ハウスメーカーや工務店における住宅のステルス値上げは、価格をなるべく上昇させずに土地面積や建物面積の縮小、仕様の変更などでコストを下げ、利益を確保するという戦略が取られていると考えます。
どの方法でコストを下げるかは、ハウスメーカーや工務店によって異なります。
ただし、構造の強度や建材の質を落とすということは、ビルダーサイドにとってあまりにもリスクが高すぎますし、法律に抵触する可能性もありますので考えにくいです。
あくまでも違法性のないやり方で、懸命に努力していることが現実といえます。
ハウスメーカーなど価格維持に必死
一戸建て住宅の販売価格が高騰してしまうと、買い手は購入を躊躇してしまいます。
そのため、ハウスメーカーや工務店は、価格維持に必死です。
コロナ禍では、多くのハウスメーカーが一戸建て住宅の在庫を抱えることになり、窮地に追いやられた会社も少なくありません。
ゆえに、できるだけ販売価格を抑えながら、利益を確保する方法が模索され続け、ステルス値上げは苦肉の策ともいえます。
ステルス値上げについて良い印象を持たない方もいますが、例えば、とある設備がハイグレードからスタンダードに置き換わったとしても、問題ないケースも多いものです。
それを考えると、あながちステルス値上げはデメリットばかりともいえません。
建築コストの調整はどこで?
実際に、どういったことで建築コストを抑えているのか、できるだけ詳しくお伝えします。
もっとも確実なのは、土地面積や建築面積を縮小することですが、快適な居住スペース、十分な駐車場や庭などを確保する場合は限界があります。
よって、間取りの部屋数を減らすことで建築費用を抑える、設備や建材のグレードを下げることでコスト削減を図るといったような、住宅仕様の全体を通して見直されています。
細かいところでは、
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水回り設備のダウングレード
(キッチンのガスコンロやIHヒーター、混合水栓、バスの鏡の大きさなど)
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ウォークインクローゼットなどの大型収納を通常サイズへ
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玄関ドアがカードキーシステムから鍵穴対応
(セキュリティのレベルについては要確認)
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玄関収納が小さくスペースも縮小
(玄関スペース自体も縮小されている可能性あり)
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二重サッシのオプション化
といったように、細かい部品までがコスト削減の対象です。
さらに、建材メーカーの商品値上げも進むと予想され、例えば、LIXILは2025年4月の受注分(LIXIL、住宅サッシ・玄関ドア、エクステリアなど値上げ | 新建ハウジング)から数%、商品によっては平均40%も高くなることがわかっています。
そのような背景にありながら、できるだけ暮らしの質に影響しないよう、ハウスメーカーの涙ぐましい努力が垣間見えます。
とはいえ、すでに完成して数か月経過している一戸建て住宅ならば、値上げ前の商品が組み入れられていることから、ある意味、購入チャンスといっても過言ではありません。
ステルス値上げの実行前に、建築されている可能性もあります。
まだまだ神奈川県の一戸建て住宅の仕様は充実しているため、希望を持って情報収集することをおすすめします。

住宅ステルス値上げの対応策
住宅のステルス値上げは、供給元のハウスメーカーや工務店が、購入希望者に経済的な負担を強いることなく、満足度と利益を確保するために実施しているものといえます。
ただ、ハウスメーカーにとっても購入者側にとっても、頭の痛い状況であることは間違いありません。
そのような状況で、理想の一戸建て住宅を神奈川県で見つけて、納得した価格と仕様で購入を決断するためには、やはり何らかの対策を講じることが求められます。
その対策とは、
という点がカギといえます。
求める条件を見直す
一戸建て住宅の希望条件を見直し、優先順位付けすることで、ステルス値上げが実施されている中でも、理想の住宅を購入できる可能性は高まります。
たとえば駅近という条件を外して、坪単価の低い郊外の物件であれば、同じ価格帯でも土地や間取りにゆとりのある一戸建てを手入れやすくなります。
建築条件(建ぺい率や容積率など)次第では、価格が安いにもかかわらず、広い物件にめぐり逢うチャンスも夢ではありません。
水回りなどの設備は、たとえダウングレードされていたとしても、意外に不満はないことのほうが多いです。
優先すべきは耐震性、気密性、空調、間取り、動線、日当たり、周辺環境、治安、通勤通学の利便性といったことが重要といえます。
将来的な資産価値を予測する
インフレ時は現金の価値は目減りすることになりますが、不動産については資産価値が上昇しやすい傾向です。
ゆえに、ステルス値上げによって延べ面積が縮小し、割高の物件だったとしても、立地や建物の維持管理の状況によっては、高い相場で売却も可能といえます。
さらに駅近で整形地の土地は資産価値が落ちにくく、有効活用もしやすいので、割高であっても、無理のない資金計画が可能であれば、前向きに検討する価値はあります。
ただし、数十年後の未来は予測が難しいため、値上がりの保証はありませんが、長く快適に暮らせる一戸建ては、いつの時代も重宝されることは確かです。

まとめ
一戸建て住宅の販売価格や相場を維持するため、苦肉の策であるステルス値上げに対する大きな反発は、今のところ見受けられません。
それでもマイホームを手に入れたいのは、理想のライフスタイルを叶えることに大きな価値を見出しているからです。
ただ、残念ながら建築資材や人的コストの高騰は、終わりが見えていないのが現状といえます。
だからこそ住宅に求める条件を再確認し、現時点で理想といえる一戸建て住宅を購入することで、満足度も高まります。
ステルス値上げを気にしすぎて、購入機会を逃すことは本末転倒です。
ハウスメーカーになるべく早い段階で相談したい、神奈川県で一戸建て住宅を探したいときは、リブワークのe建売netにお任せください。
また、神奈川県で新築の一戸建て住宅の購入を検討している方は、リブワークにぜひご相談ください。