目次
初めて新築の一戸建てを購入するならば、早くて20代後半、一般的には30代~40代が多い印象です。
ところが50代ともなると、世間的には住宅ローンの返済期間などから、あまり現実的ではないと見られています。
本当に現実的ではないかどうかは、購入価格や返済計画などプラン次第です。
また、2023年時点ではゼロ金利政策は継続されていますが、長期金利は上昇傾向にあることから、借入するタイミングも重要といえます。
そこで今回は、50代で神奈川県などの人口が多い都市部で、一戸建てを購入する際の資金計画などについて解説します。
データで見る50代の新築購入
新築を購入する際には、ある程度、データ上の購入者に関するさまざまな情報を知っておくと、参考になることがあります。
購入者が多い年齢層や年収層などを把握することで、安全に暮らす、つまりリスクを低減できるマジョリティーを知ることができるからです。
この章では世帯像や購入額、返済方式などに着目し、国土交通省が公開している令和4年度住宅市場動向調査報告書をベースに解説します。
世帯像
令和4年度の調査報告書では、新築一戸建ての購入年齢は平均39.5歳です。
内訳を見てみると、
- 30歳未満:12.5%
- 30歳代:45.6%
- 40歳代:27.9%
- 50歳代:8.2%
やはり30代と40代で約73.5%と大半を占めています。
このことから、新築一戸建てを購入する層は、冒頭で述べたとおり30台~40台が多い印象ということが、データからも裏付けられたわけです。
肝心の50代は1割にも満たないということから、データから見ても、出遅れ感は否めません。
ちなみに世帯年収においては、600万~800万円未満が24.3%と、最も割合が高くなっています。
購入額と返済
神奈川県を問わず、一戸建てを購入する際には、購入資金と住宅ローンの借り方が重要なポイントです。
一戸建ての購入資金平均額は4,074万円で、その内、自己資金は869万円となっています。
データ上では、約3,205万円を住宅ローンとして借入しており、借入期間32.7年、年間返済額126.6万円が平均です。
また、多くの住宅ローン利用者が変動金利を利用しています。
変動金利は確かに低水準で利用しやすいところですが、返済期間中の生活環境の激変によって、経済的に困窮するリスクを抱え続けることは否めません。
そのリスクを知るためにも、ファイナンシャルプランナーが作成する年間収支の見通しなどを、資金計画の参考にすることがおすすめです。
50代の資金計画
前述したデータを見る限りでは、50代での一戸建て購入は、タイミングとしては遅い印象を受けるのはしかたのないことです。
さらに、50代で住宅ローンを組む場合、審査が厳しくなり団体信用生命保険が通らないなどのリスクも現実としてあります。
50代で、神奈川県などの人口が比較的多い地域に、一戸建てを購入するためには、
- 住宅ローンを通せる資金計画
- 生活が困窮しない自己資金
がポイントといえます。
無理のない予算とは
同じ世帯年収であっても、支出が違えば住宅の資金計画の組み方は変わります。
1つの判断基準としては、借入金額との返済負担率という指標があります。
返済負担率とは、年間返済額と年収との割合です。
住宅金融支援機構の住宅ローン利用者調査(2023年4月調査)によると、返済負担率に関しては、22.2~25.3%がボリュームゾーンです。
さらに、神奈川県を問わず金融機関が審査をする上での安全ラインにおいても、返済負担率は20~30%であることが多く、このレンジ内となる住宅ローンの返済計画がおすすめといえます。
ただし、居住人数が多い、転職予定があるなど、ライフステージの変化は収入と支出に大きな影響を与えます。
特に50代の場合は、定年退職まで20年を切ることになるため、退職後の返済についても考慮しておくべきです。
自己資金がカギ
前述の令和4年度住宅市場動向調査報告書では、一戸建てを購入する際に用意した自己資金額の平均は869万円となっています。
神奈川県で一戸建てを購入するとしても、参考にして欲しいデータです。
自己資金については、手持ちの預貯金などに余裕がない中で無理に捻出することも、相応のリスクであると考えねばなりません。
生活に困窮して、金利の高いフリーローンなどを利用するということは、避けたいところです。
住宅ローンを組む場合は、基本的に自己資金比率を高くすることで、住宅ローンの支払額を抑える、あるいは返済期間を短縮することが可能です。
しかし、日常生活に不安が残る預貯金額になってしまうと、何かとストレスの多い新生活になります。
ストレスの多い新生活は、次第に心身に蓄積されてしまうため、自己資金が少ないのであれば、一戸建ての購入予算を下げるといったことも必要です。
住宅ローンの組み方
住宅ローンを組む際には、月々の支払いだけでなく、金利、返済総額、返済期間さらには前述の自己資金に繰り上げ返済など、いろいろと慎重に検討して決定すべきです。
さらに、近年の金利上昇を踏まえた場合、借りるタイミングによって借入総額も大きく変動します。
そこで、この章では住宅ローンの組み方について、金利上昇におけるシミュレーションを交えながら解説します。
金利上昇による比較
2023年8月31日に、大手銀行が9月に適用する住宅ローン金利を発表し、固定金利の基準金利平均は3.65%と高水準です。
変動金利は据え置きとなったものの、日銀が長短金利操作を一部修正し、事実上1%まで上限を拡大したことから、金利上昇の傾向は今後も続くと予想されます。
さらに、日米の金融格差を考えると、変動金利の上昇が始まってもおかしくない状況でもあります。
つまり、神奈川県で一戸建てを購入する際に住宅ローンを組むのであれば、遅かれ早かれ金利上昇のリスクを受けやすくなるといえます。
このことを踏まえた上で3,500万円を35年間、フラット35で借入した場合のシミュレーションをした場合、次のような結果になりました。
返済比較
|
2023年8月
|
2023年9月
|
差額
|
月々の返済
|
110,976円
|
112,381円
|
-1,405円
|
返済総額
|
46,609,745円
|
47,200,304円
|
-590,559円
|
※機構団信加入、21年~35年の金利を利用
上記のシミュレーション結果によると、同じ物件を購入した場合でも住宅ローンの契約が、1ヶ月後ろ倒しになっただけで約60万円もの差が生まれることが分かります。
住宅ローンの契約タイミングだけで、この差だということが理解できる結果です。
ただし、前述した国土交通省の調査報告書によると、平均年収は752万となることから、9月以降であっても返済負担率は約18%となり、安全ラインの20~30%よりも下回ることが分かります。
このことからも、資金面では50代であっても安全に住宅ローンを組むことが可能、といえます。
後はいかに早く完済するかが、50代の命題とも言えます。
50代への提案
ここまで解説した内容を加味すると、50代で住宅ローンを組み一戸建てを購入する場合には、
- 金利上昇の影響を受けにくそうな変動金利を選択
- なるべく返済期間を短縮するプランを持つ
ということがおすすめと言えそうです。
特に定年まで時間が少ないため、無収入になるタイミングでの完済、もしくは大部分を返済した状態にしておくのが理想といえます。
そのためには、
- 自己資金の投入
- 繰上げ返済
- 退職金による返済
- 融資額の見直し
- 購入予算の見直し
- 借り換え
など多角的に検討して、プランを複数持っておくべきです。
さらに、50代の場合は健康面のリスクが高くなり、その結果、団体信用生命保険が組めないという事態にもなり兼ねません。
この保険に加入するためには、保険会社が提示する「告知書」に記載されている病気に罹患していないことが条件となります。
つまり、悪性腫瘍や循環器系の病気、てんかんや鬱などに罹患してしまうと金融機関が限定され、結果、金利の高い融資に頼らざるを得ないことになります。
そのため、50代で一戸建てを検討する場合には、金利の上昇リスクだけでなく、低金利の金融機関で住宅ローンが組めなくなる可能性も知っておくべきです。
まとめ
一戸建ての取得年齢は平均39歳前後であることから、一般的に50代での購入は、さまざまなリスクがあるのではないかと考えられています。
しかし、比較的高い年収を得ている、教育費も落ち着いてくる、子育ても終わりつつある世代でもあることから、逆にそれが武器となるケースも。
とは言え、無理のない資金計画や自己資金の捻出など、総合的に見ても一戸建てを購入することは可能です。
50代での一戸建て購入は、まず今後のライフプランと、住宅に充てられる予算を正しく把握することからスタートします。
同時に金利上昇や健康リスク、定年によって下がる年収についても考慮し、少しでも早い段階で完済できるようなプランがおすすめと言えます。
50代になって神奈川県で建売住宅を探したいときは、リブワークのe建売netにお任せください。
また、神奈川県で新築の一戸建ての購入を検討している方で、50代が無理なく手に入れることができる物件をお求めの方は、リブワークにぜひご相談ください。